生活習慣病
生活習慣病
当院では患者さん一人ひとりに寄り添い、総合内科専門医が生活習慣病の予防から治療まで全てを行っております。特に予防医学は重要と考えており、薬物治療はもちろん、食事指導や運動療法、ストレス管理、禁煙支援なども積極的に行っています。しかしながら生活習慣病の多くは自覚症状がなく、ついつい管理が適当になってしまいがちで、そうならないためには医師と患者さんとの信頼関係が何より大事になってきます。どんなことでも構わないので是非本音を話していただき、一緒に健康を目指すパートナーでありたいと考えています。健康診断などで異常を指摘された方、生活習慣病が気になる方は、是非当院へご相談ください。
生活習慣病は、生活習慣が原因で発症する病気の総称です。運動不足や不適切な食生活、過度な飲酒、喫煙やストレスなど、習慣や環境が深く関与し、これらが積み重なることで発症します。日本人の三大死因は、がん、心疾患、脳血管疾患ですが、これらの危険因子となる肥満症、動脈硬化症、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などはいずれも生活習慣病とされています。これらの多くは自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行し、脳や心臓、血管などにダメージを与えていきます。その結果ある日突然、心筋梗塞や脳卒中などの命に関わる重篤な症状を引き起こすことがあります。また助かったとしても、寝たきりになったりするとその後の健康寿命が大きく損なわれることになります。そうならないためにも早期発見、日々の管理が重要になります。
糖尿病とは、膵臓から分泌されるインスリンの作用が不十分なために血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が正常範囲を超えて高くなる病気です。日本人ではインスリン抵抗性が原因となる2型糖尿病が圧倒的に多く、その発症には過食、肥満、運動不足、ストレスなどの生活習慣が関係しているといわれています。糖尿病は初期症状が乏しく、目立った症状が現れることなく進行することが多い病気です。口渇、多飲、多尿、体重減少といった自覚症状が現れたころにはある程度進行してしまっていることもあります。さらに、病気が進むと三大合併症と呼ばれる糖尿病網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病神経障害を発症して、末期には失明したり、透析治療が必要になったりすることもあります(透析導入の原因の第一位は糖尿病です)。そのため、早いうちから、血糖値をコントロールすることが大切です。糖尿病の診断は、症状の有無、ヘモグロビンA1cの値、血糖値を総合的に見て判断されます。
血糖値が高くなるとブドウ糖が赤血球の中のヘモグロビンと結合します。これがヘモグロビンA1cと呼ばれるもので、血糖値が高いほどヘモグロビンA1c値も大きくなります。過去1~2カ月間の血糖の状態を示す値で、糖尿病の合併症の進行と深く関係しているとされています。
8時間以上絶食後の早朝に採血したときの血糖値。
食事の時間と関係なく採血したときの血糖値。
空腹時血糖値≧126mg/dl、随時血糖値≧200mg/dl、HbA1c≧6.5%が診断の目安とされていますが、これらを満たさなくても糖尿病予備軍(境界型糖尿病)と診断されることもあります。また、2型糖尿病以外に、膵臓や肝臓の異常、内分泌疾患が原因として隠れている2次性糖尿病も存在しますので、安易に2型糖尿病と診断せずに、しっかりと原因を調べることが重要です。
糖尿病の治療は、経口血糖降下薬(飲み薬)と注射薬(インスリン、GLP-1受容体作動薬)に大きく分類されます。コントロールが悪い場合には注射薬が用いられますが、患者さんの精神的・金銭的負担は一般的に大きくなります。当院では一人ひとりの生活状況を踏まえ、実施可能でかつ最適な治療をご相談、ご提案しております。血糖値のことでお悩みの方は是非一度ご相談ください。
動脈硬化症は、動脈の壁が厚く硬くなり、弾力が失われてもろくなっている状態をいいます。血管の内部にプラークというこぶができることで血管が狭くなり、血液が流れにくくなることで最終的には心筋梗塞、脳卒中などの血管の病気に繋がります。日本人の5人に1人は動脈硬化が原因の疾患で亡くなることがわかっています。動脈硬化は一度起きるともとには戻りません。原因のほとんどは肥満症や高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、運動不足などの危険因子が重なることで起きます。バランスのよい食事を心がけ、塩分・糖分・脂肪分を摂り過ぎないようにしましょう。肉やバターなどに多く含まれる飽和脂肪酸よりも、不飽和脂肪酸の多い魚やえごま油などを摂るとよいでしょう。運動はウォーキングなどスムーズな呼吸をしながら行う有酸素運動がお勧めです。当院ではABI(ankle brachial index:足関節上腕血圧比)や、エコーによる頸動脈狭窄の確認といった動脈硬化の検査を実施しております。すぐに実施できる検査になりますので気になる方は一度精査をお勧めします。
血圧とは心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す力のことです。高血圧の状態が続くと動脈硬化が進行し、血流が悪くなるとそれを補うために心臓がより強い力で全身に血液を送ることで血圧が上がります。こうした悪循環が常態化してしまうのが高血圧症です。高血圧には、他の疾患や薬剤の副作用が原因で起こる二次性高血圧と、原因のはっきりしない本態性高血圧がありますが、日本人の高血圧症の約90%が本態性高血圧といわれています。本態性高血圧は、遺伝的要因と塩分の摂り過ぎ、肥満、過度な飲酒、喫煙、運動不足、精神的なストレスなどの環境的要因が重なって発症すると考えられています。高血圧症も他の生活習慣病と同様に自覚症状に乏しく、なかなか気づくことができませんが、そのままにしておくと動脈硬化が進行し重篤な病気の原因になるので放置は禁物です。まずは、定期的かつ決まった時間に血圧を測定してご自身の血圧を管理しましょう。継続的に行う適度な運動、食生活を中心とした生活習慣の改善が予防と治療に有効です。
高血圧の診断基準(日本高血圧学会)は140/90mmHg以上とされていますが、動脈硬化予防の観点からは、130/80mmHg未満が望ましいとされています。
脂質異常症とは、血液中の脂質の値が基準値から外れた状態をいいます。「悪玉コレステロール」といわれるLDLコレステロールや血液中の中性脂肪(トリグリセライド)が必要以上に増えたり、あるいは「善玉コレステロール」であるHDLコレステロールが減ったりする病態です。治療は通常、食事療法と運動療法からはじめます。薬物療法はこれらを行っても脂質管理の目標値が達成できなかったり、持っている危険因子が多くリスクが高い場合に開始されます。
高尿酸血症とは血液中の尿酸が7.0mg/dlを超える病態をいいます。痛風や腎結石、尿路結石の原因になるほか、肥満や高血圧、脂質異常症、糖尿病を複合的に合併することが多いといえます。尿酸の結晶は、血清尿酸値が6.8mg/dl以上で形成されるといわれていますので、6.0mg/dl以下に保つことが治療目標となります。まずは原因となる生活習慣がないかを確認し、運動習慣や食生活を改善していくことが大切です。