がんの予防・早期発見の心得|山の手内科クリニック|神戸市の内科、呼吸器内科、アレルギー科

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医療コラム

がんの予防・早期発見の心得|山の手内科クリニック|神戸市の内科、呼吸器内科、アレルギー科

皆様はじめまして。

山の手内科クリニックの古川です。

ここでは患者さんから健康な方までたくさんの方にとってためになる(?)ブログを、(不定期ではありますが)書いていきたいと思います。内容は内科から呼吸器、アレルギー、がん、予防医学など様々なジャンルになりますが、どうぞお付き合い下さい。

 

何から話そうか迷ったのですが、当クリニックの周辺は若い方からお年寄りの方まで幅広く住んでおられる印象ですので、病気の人もそうでない人も全員にとって大切な「予防医学」について、いくつかお話をしていきたいと思います。

 

初回はその中でも「がん」の予防に関してお話しします。

 

日本人の平均寿命はいずれ100歳をこえるのではないかと言われています。それに伴いがんによる死亡率が年々上昇傾向で、最終的には2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで死亡すると言われています。40~50代となり、身近で怖い存在になる病気が「がん」ではないでしょうか。

 

そもそもがん細胞はどのようにして現れ、大きくなるのでしょうか。人間の体内では、免疫細胞が体内の細胞を監視しており、がん細胞を発見したら退治します。しかし、加齢に伴ってこのバリア機能が低下し、その結果この監視の目をくぐり抜け、がん細胞が増殖していきます。40歳代を超えてくると加齢によるこのバリア機能の低下に加え、喫煙や飲酒などの「がんリスク」が上昇するような生活習慣が重なりがんが発生してきます。

 

「予防医学」の点から見ると、がんは大きく3つにわけられます。

・予防できるがん

・早期発見できるがん

・予防・早期発見が難しい(有効な手段が見つかっていない)がん

です。

 

①「予防できる」がん

実はがんには検診で予防できるものが存在します。というのも、日本人のがんの原因の約4分の1がウイルスや細菌による感染症です。ピロリ菌による胃がん、ヒトパピローマウイルスによる子宮頸がん、肝炎ウイルスによる肝臓がんなどが代表的です。

これらの感染症は数十年にわたって慢性的に体の中に潜み、体をむしばみ続け、がんを引き起こします。しかし、そのウイルスや細菌を早期発見でき、退治してしまえばがんのリスクを大きく減らすことができます。

 

②「早期発見できる」がん

上で述べたような感染症が原因のがんはそれを退治することで予防できますが、それ以外のがんは残念ながらがん化する前に退治することはできません。しかし、がんになったとしても早期発見できれば明らかに死亡率が下がるがんが存在します。

具体的には肺がん、乳がん、胃がん、大腸がんなどです。

こちらも次項以降で具体的に説明していきますが、大事な注意点として、かたっぱしから色んな検査をしてもあまり意味がない(早期発見に役立つ検査と役立たない検査がある)点です。ネット上では色んな検査がごちゃまぜで紹介されていることも多く、本コラムを参考にしていただけますと幸いです。

 

③「予防早期発見が難しい(有効な手段が見つかっていない)」がん

検診で早期発見の有効性が証明されていないがんも、残念ながら多く存在します。

できれば検診や血液検査などでがんの尻尾をつかみたいのですが、これまでの様々な研究結果から「早期発見するのに有効なエビデンスはない」とされているものになります。

具体的には、膵臓がん、咽頭がん、食道がん、膀胱がんなどです。

がんの「初期症状」とよく言いますが、多くは「がんに引き起こされる様々な症状の中で最初に出てくるもの」に過ぎません。つまり、「がんの成長過程において初期」ではなくすでにがんが進行している場合も多いのが実際です。

このタイプのがんへの対策としては、「出現しうる症状を事前に知っておき、兆候があった時にすぐ病院に行けるようにしておく」ことが大事です。そして、これらを1つ1つ覚えておくのは難しいかもしれませんが、実はがんの種類に関わらず共通して起こる症状(兆候)が実は3つ、存在します。後ほど説明したいと思いますが、それらは是非覚えておいていただき、ご自身やご家族でそのような兆候や症状が出たら早めに行動するようにしてください。

 

では、次項から種類別に説明していきたいと思います。

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